コンテンツ
シン付加
付加反応をしたときに付加したものが同じ側につく反応。シス体を生成する反応。
シン付加試薬
KMnO4,OSO4,THF,H2Sなどの試薬
アンチ付加
付加反応をしたときに付加したものが反対側につく反応。トランス体を生成する反応。
アンチ付加試薬
基本的にアンチ付加で進むので、シン付加以外の試薬で覚えましょう。
エポキシドの開裂反応の方向性
2個のCがOに結合した形をエポキシド環という。エポキシド環が開裂する反応には酸性または塩基性によって開裂の進み方が異なります。
酸性条件下
酸性条件下ではプロトンによってCOの結合が外れやすくなります。外れた後の構造が安定な方に外れます。+は置換基の多い方の炭素につくので図のようになります。従って水などの置換基を加えた場合、置換基の多い炭素に置換します。アンチ付加で進みます。
塩基性条件下
塩基性条件下では、エポキシド環は比較的安定に存在できます。従って脱離と付加が同時に進みます。アンチ付加で進みます。
例題
1
KMnO4は、シン付加で進む代表的な試薬です。2番目のような中間体を生成するためにシン付加になります。(a-4-1)
2
酸性条件下なので、2番目の中間体のメチル基が付いている方にヒドロキシ基が付加します。アンチ付加。(a-4-2)
3
Hgがカチオンになっているのでヒドロキシ基はメチル基側につきます。二番目の中間体が生成したあとアンチ付加でOH基が付加します。NaBH4で脱水銀反応が進みます。(a-4-3)
4
シン付加で進みます。ヒドロホウ素は特殊な反応機構で進みます。ヒドロホウ素は平面的な構造のためこのような反応が進みます。(a-4-4)
5
二重結合が開裂するときは、開裂した後に自身がカチオンになるように開裂します。従って先にHが付加します。カチオンは置換基の多い側の炭素につきます。(a-4-5)
6
二重結合が開裂し、Brが付加します。置換基が多くついている炭素がカチオンになるように付加します。アンチ付加。(a-4-6)
7
Dは重水素です。中性子が1個余分についているもの。白金を触媒に加えることで触媒上で付加反応が起こり、シン付加で反応が進みます。(a-4-7)
8
中間体がカチオンになるように水素が付加し、反応が進みます。アンチ付加。(a-4-8)
9
Brと水を加えることでBrが先に反応し、後から水が反応します。(a-4-9)
10
酸触媒条件では、カルボカチオンが安定するように反応が進みます。塩基性条件下では、立体障害の影響を受けないように反応が進みます。(a-8)
11
問題4と同様な反応になります。2段階目のカルボカチオンが安定化するようにボラン(BH3)が付加します。(a-14-5)