ピラニア洗浄方法

実験操作解説

ピラニア洗浄

ピラニア洗浄は、ピラニア溶液によって基材に付着した有機物を除去する方法です。有機物の除去の様子がたくさんのピラニアがえさをつついているのに似ているためピラニアという名前がついています。ピラニア溶液は、濃硫酸(H2SO4過酸化水素(H2O2を3:1で混合したものです。溶液は高温になると危険であり、ピラニアでの反応は自発的な反応です。

爆発や火事の危険

ピラニア洗浄では、反応が加速し思わぬ事故につながることがあります。ピラニア溶液が泡を吹いてビーカーから飛び出したり、ビーカーを破壊するほどの爆発が起きることがあります。ピラニア溶液は有機化合物を強力に酸化します。ピラニア溶液に十分な有機物(フォトレジスト、IPAなど)を与えると、膨大な量の熱とガスが発生します。

本記事では、ピラニア洗浄の方法を解説しますが、実際に洗浄を行う際は専門家の指導の下行うようにしてください。

作業上の注意

  • 白衣、保護メガネ、耐酸性手袋を必ず着用
  • ピラニアを取り扱う際には、必ずガラス容器を使用(それ以外だと溶けたりする可能性があります)
  • 作業はすべてドラフト内で行い、危険なので慎重に作業する

操作説明

必要なもの

  • ドラフト
  • ホットプレート(90〜120℃の加熱が必要な場合)
  • ガラスビーカー2個または耐熱性トレー2個
  • メスシリンダー2個
  • トレー(氷水を入れて冷やす用)
  • 過酸化水素(H2O2)
  • 硫酸(H2SO4)

1.基盤洗浄

洗浄する基盤は、ピラニア溶液に入れる前に洗浄し、乾燥させる必要があります。ピラニアは、有機物の残留物を除去するためであり、化合物そのものを除去するものではありません。ピラニアを使用する前に、アセトン/IPAなどのソニケーションで基盤を洗浄してください。

2.ピラニア溶液の作成

ガラスビーカー2個または耐熱性トレー2個、メスシリンダー2個、過酸化水素(H2O2)、硫酸(H2SO4)を用意します。

作業はすべてドラフト内で行い、ガラス容器にピラニア溶液を使用していることを明記して、他の人から良く見えるようにしておく

ピラニア溶液の作成

濃硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)を3:1で混合し、ピラニア溶液を作成します。

  1. 混合の際に有害な気体が発生するのでドラフト排気をオンにする
  2. 溶液の作成中のビーカーは高温になるため、容器に氷水を用意し、ビーカーを浸す
  3. メスシリンダーで濃硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)を3:1で計り、必ず硫酸に過酸化物を加えてピラニア溶液を作成します。H2O2濃度が50%以上になると爆発する恐れがあるため、正確に計り取ってください
  4. 高温のピラニア溶液を開放容器に入れ、約一時間放冷する

通常、酸は最後に追加する必要があります。ピラニアは例外です。最初に硫酸を入れ、次にゆっくりと過酸化物を注ぎます溶液は80°Cまで加熱されます。

ピラニア溶液の取り扱い

ピラニア溶液は非常にエネルギーが強く、爆発や100℃以上の高温になる可能性が非常に高いため、取り扱いに注意してください。
密閉容器にピラニア溶液を入れると爆発する可能性があるので、絶対に密閉しないでください。
また、ピラニア溶液は反応性がかなり高いので酸や塩基、水によって反応が促進されます。
有機化合物はさらに危険であり、爆発する恐れがあります。
ピラニア溶液は絶対に密閉しない
塩基をかけない
アセトン、IPA、ナイロンなどの有機化合物を入れない

3.ピラニア洗浄

放冷したピラニア溶液に基盤を10分間浸します。この溶液は絶対に放置しないでください。10分後、溶液の温度は通常60℃になります。

より強力な洗浄を行う場合は、ホットプレートを使用して100~120℃に加熱します。高温になると、より危険な操作になるため、注意が必要です。

ピラニア溶液から基盤を取り出し、あらかじめきれいな蒸留水で満たした容器に浸します。

4.廃棄・片付け

ピラニア溶液は、適切なラベル表示をして半日〜1日ほど冷却、放置してピラニア溶液の反応性を下げます。

ピラニア溶液を十分量の氷水が入った容器にゆっくりと注ぎ、濃度を薄めます。

十分薄めたピラニア溶液に塩基を加えて中和します。ピラニア溶液はかなり酸に偏っているのでガラス棒などで攪拌しながら中和します。

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