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実験自動化の事例:ピペット操作と磁気ビーズ精製
研究室の実験をより簡単に、より正確に
研究室での手作業によるピペット操作は、時間がかかるだけでなく、人によるばらつきが生じやすい課題があります。今回、私たちはロボットアームを活用して、ピペット操作の自動化と、磁気ビーズを用いた分子精製の効率化に成功しました!
この技術により、DNAやRNAの抽出、タンパク質の精製などをより正確に、効率的に行うことができます。
実験自動化の仕組み
今回の自動化ではDobot Magician(ロボットアーム)と電子ピペット(Picus 2)を使用し、以下の3つのプロセスをロボットで実行できるようにしました。
1. ピペットチップの着脱
ロボットアームがピペットチップを装着し、不要になったチップを自動的に廃棄します。
2. サンプル溶液の吸引と分注
電子ピペットをロボットアームに固定し、試薬やサンプルを正確な量でチューブに分注します。
3. チューブの移動
チューブラックに並べられたサンプルを、磁気ビーズ精製の工程に合わせて移動させます。
この一連の流れにより、人手を介さずに正確な実験操作が可能になります。
磁気ビーズを活用した分子精製とは?
磁気ビーズ精製とは、磁石を使って目的の分子(DNA・RNA・タンパク質など)を分離・回収する方法です。
磁気ビーズ精製の流れ
- ビーズとサンプルを混合 → 磁気ビーズが目的分子を捕捉
- 磁場でビーズを分離 → 不要な成分を除去
- 洗浄 → 目的の分子だけを残す
- 溶出 → DNA・RNA・タンパク質などを回収
この方法は、高速かつ高精度な精製が可能であり、分子生物学や医療研究で幅広く活用されています。
実験自動化に必要なハードウェア
実験を自動化するために、以下の機材を使用しました。
- Dobot Magician(多機能ロボットアーム)
- Picus 2(高精度電子ピペット)
- 3Dプリントパーツ
- 磁気スタンド(磁気ビーズ精製用)
- チューブラック(サンプルを保持)
- 溶液ホルダー(試薬を固定)
- チップ廃棄スタンド(ピペットチップの管理)
- 磁石、チューブ、ピペットチップなどの消耗品
各パーツは3Dプリントでカスタマイズ可能で、実験内容に応じた最適な設計を行えます。
まとめ
今回紹介したロボットアームを活用した実験自動化は、ピペッティングや分子精製の精度を向上させ、研究者の負担を軽減します。
この技術は、生命科学、バイオテクノロジー、医療研究の分野で応用が期待されており、より効率的で革新的な研究環境の構築に貢献します。
「研究室の自動化に興味がある」「自分の実験をロボットで効率化したい」と考えている方は、お気軽にご相談ください!